釉薬の比重を計る

こんにちは。

先日素焼きに回した器たちが、無事に焼けました。

週末に釉薬を掛ける予定なのですが、恥ずかしながら釉薬の比重の話を知りませんでした。

こちら超重要な話で、いろいろと調べたら、以下の解説を見つけました。

メモ代わりに残しておきます。

まず最初に施釉の基本について説明せねばならんのぉ。
陶芸経験の浅い方は、釉薬濃度を一定にすると施釉厚が一定になると思っておる方が多いようじゃが、施釉厚というのは、釉薬濃度よりも素地の吸水状態に左右されるんじゃ。土の種類(肌理)、作品の厚み、乾燥状態などで施釉厚は大きく異なる。
従って、常に同じ土、同じ厚み、同じ乾燥状態の作品に、十分に攪拌し濃度を一定に調整した釉薬に同じ施釉方法、タイミングで施釉を行った場合に限り、同じ仕上がりが期待できるということになるわけじゃ。毎回、形の異なる作品を作ったり、作品の厚みが一定でない場合は、いくら濃度が一定に保たれておっても仕上がりを一定することは非常に難しい。また、時間と共に釉薬の原料は沈殿していくし、施釉回数が多くなれば、水面近くの濃度は変わってきちまう。
そうした条件を出来るだけカヴァーするためには、極端な話、施釉の技術を上げていくしか方法は無いと言っても良いじゃろう。

また、釉薬というものは、使用しておる原料によって粘性が異なるんじゃ。粘土や天然灰を主原料にした釉薬は粘りが強くなるし、長石や石灰など鉱物を主原料としたものは粘りが弱くなる。フリット化させてある釉薬は粘性がほとんど無く沈殿速度も速い。釉薬は単純に濃い薄いという基準で考えず、原料が持つ粘性を見極めた上で濃度を考えてやらねばならんということじゃ。
使用しておる釉薬に、どういった原料が使われておるかは、購入しておる業者に問い合わせてみるのが良いじゃろう。細かい数値はさておき、普通は、使用原料を教えてくれるものじゃ。 更に、原料によっては、熱量勺減と言うが、燃えて無くなっちまう成分の多いものは、意図的に厚く施釉してやらねばならん。天然の灰などを使用する場合は、約半分が燃えちまう物なので、灰の量が多くなればなるほど施釉の厚みは必要になるし、逆に、原料の多くが鉱物種になると施釉時の厚さがそのまま出てくるということになる。
どの程度の厚さで施釉するかは、作品をどのような色で出したいか、あるいは下絵付けなどを行っている場合は、下絵をどのように見せたいのかなどの条件により変化するので、同一釉薬であっても、正しい数値というものを決定することはできんというわけじゃ。
特に、多くの方が作業をされる同好会などでは、釉薬の掛り具合の好みは分かれるところじゃろうから、一定に保つことが必ずしもベストな選択となるかどうかは、よく考えなければならんじゃろう。

こうした事を前提に、さて、釉薬の濃度と濃度計(ボーメ計)の話をさせて頂くとしよう。
まず、ボーメ計じゃが、これは純水を基準として、他の溶液の濃度を相対的に測る為の道具じゃ。通常、販売されておるものは、ボーメ比重計と言って、ボーメ値(0を基準)と比重値(1.0を基準)の両方が分かるようになっておる。例えば、比重1.4の溶液は40ボーメということになるわけじゃ。
使い方は、よく攪拌した釉薬の中に静かに入れ、10~20秒程度(濃度により異なる)そのままにした後、数値を読み取る。簡単じゃな。

次に、釉薬の濃度の話じゃが、先にもお話したとおり、同じ名称で販売されておるものでも、その原料に何を使用したかによって濃度は異なる。もっとも、概ね、その比重は1.2~1.8程度じゃと思えば良いじゃろう。下絵付けを鮮明に出す時などは、出来るだけ薄く施釉しておかんと下絵が滲んで流れてしまうので、比重は1.2~1.4。逆に、意図的に施釉厚にムラを出す場合は、比重1.6~1.8のように設定するわけじゃ。
しかし、実際のところ、最も確実なのは、これから施釉する作品と同じ土、同じ厚みの施釉テスト用の素焼き素地を用意しておき、作品に施釉する前に試し掛けを行うのが一番じゃ。施釉を行ってみて、葉書の厚み程度に付いておれば、概ね良いということになるじゃろう。テスト素地の釉薬が乾いてから、カッターなどで釉薬を削ってみれば、どの程度の厚みで付いているかは肉眼で確認することができる。

なお、基本的に施釉は長時間素地を浸せば厚く付くわけじゃが、一度に厚く施釉すると乾燥中に剥離することがある。出来れば、少し釉薬を薄めに作っておいて、施釉回数を増やして厚みを持たせた方が安全じゃ。中国の青磁などは施釉回数を数回から十数回行っておるそうじゃ。
薄い釉薬をどうしても厚く施釉したいという場合は、そうやって厚みを確保するのが良いとみなさんに伝えて下され。

引用:目白陶幻倶楽部ホームページより(2018/3/30現在リンク切れ)

▼釉薬の比重を計る「ボーメ計」はこんな道具です。

早速、ボーメ計を購入して、釉薬の管理を徹底したいと思います。